裁判所への書類提出 郵送・FAX・持参・オンラインの使い分け
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更新日:2026年11月2日
裁判所への書類の出し方は、その事件がいつ提起されたかで大きく分かれます。2026年5月21日に改正民事訴訟法が施行され、同日以降に提起された訴えでは、委任を受けた訴訟代理人は申立て等をオンラインで行うことが義務になりました。施行前の事件は、これまでどおり紙で、持参・郵送・FAXを使います。FAXで出せない書面と、相手方への直送の決まりを、条文と裁判所の案内で確認しながら整理します。
事務員向け
裁判所への書類提出
郵送・FAX・持参・オンラインの使い分け
最初に、その事件が2026年5月21日より前か後かを確かめる
施行日の前に提起された訴えは、書面のまま
改正民事訴訟法と改正民事訴訟規則は、2026年5月21日に施行されました。裁判所の案内によると、オンラインで訴えを提起したり、オンラインで送達を受けたりできるのは、施行以降に提起する訴え等に限られます。施行前に提起された訴えは、引き続き書面で審理を行い、書面で送達を受けます。
事務所には、施行前から続く事件と、施行後に受任した事件が両方あります。書類を出す前に、事件ごとにどちらかを確かめます。訴状を出した日が施行日の前か後か、事件記録の表紙や事件管理表に書いておくと、毎回調べずに済みます。判断に迷うときは、担当の書記官に聞きます。
使うシステムはmints
オンライン提出に使うシステムは、民事裁判書類電子提出システム「mints」です。裁判所の案内では、裁判所に書類をインターネットで提出し、裁判所からの書類を受け取るためのシステムで、使う前にアカウントの登録が必要とされています。士業者とその補助者向けの登録案内も、裁判所のサイトに載っています。
名古屋地方裁判所(支部と管内の簡易裁判所を含む)、名古屋高等裁判所本庁、最高裁判所では、2027年1月4日から新しいシステム「TreeeS」が先行して導入されます。これらの庁に新たな訴えを提起するなどの申立てをするときは、同日以降TreeeSを使い、それ以外の裁判所は引き続きmintsを使います。ただし、先行導入の時点ですでにmintsで扱っている事件の上訴は、mintsのままです。提出先の裁判所と事件がどちらのシステムかは、裁判所のサイトで確認してください。
図解 2
書類を出す前の確認
オンライン提出は、訴訟代理人には義務になった
民事訴訟法132条の10と132条の11
書面で行うこととされている申立て等は、最高裁判所規則で定める電子情報処理組織を使って、オンラインで行えます(民事訴訟法132条の10第1項)。オンラインの申立て等は、事項がファイルに記録された時に裁判所に到達したものとみなされます(同条3項)。
委任を受けた訴訟代理人は、その事件の申立て等を、この方法で行わなければなりません(132条の11第1項1号)。口頭でできる申立て等を口頭でするときは、例外です。許可を得て代理人になった者(54条1項ただし書)も対象から外れます。あわせて、オンラインで送達を受ける旨の届出も義務になっています(132条の11第2項)。届出をしていなくても、これらの者には送達ができます(109条の4)。
裁判所のシステムの故障など、責めに帰することができない事由でオンライン提出ができないときは、義務は適用されません(132条の11第3項)。その場合は書面で出し、事由と具体的な内容を書いた書面を添えます(民事訴訟規則52条の14)。義務のある事件で紙で出せるのは、この場合に限られます。
事務員が気をつける点
オンライン送達の通知は、届け出たメールアドレスに届きます(規則45条の2、45条の3)。担当弁護士だけが受け取る設定にすると、通知に気づくのが遅れます。送達の効力は、閲覧した時、ファイルに記録した時、通知から1週間を経過した時のいずれか早い時に生じるので(民事訴訟法109条の3)、通知の確認は控訴期間の起算にも直結します。数え方は控訴期限の数え方で書きました。
紙の書証についても、裁判所の案内は、書証の写しに代わる画像情報(PDF)をオンラインで提出できるとしています。書証の原本そのものをどう扱うかは、事件ごとに裁判所の指示に従います。
紙で出すときの持参・郵送・FAXと、FAXで出せない書面
FAXで出せない書面は5種類ある
施行前に提起された事件や、オンライン提出ができない場合には、書面を裁判所に出します。裁判所に提出する書面は、民事訴訟規則3条1項に挙げられたものを除き、FAXで送信して提出できます。FAXで提出した書面は、裁判所が受信した時に提出されたものとみなされます(同条2項)。裁判所は、必要があると認めるときは、送信に使った書面を出させることができます(同条3項)。
FAXで出せないのは、次の書面です。
図解 3
FAXで提出できない書面(民訴規則3条1項)
- 手数料を納付しなければならない申立ての書面
- 住所・氏名等の秘匿の届出に係る書面(秘匿事項届出書面)
- 提出により訴訟手続の開始・続行・停止・完結をさせる書面
- 法定代理権、授権、訴訟代理人の権限などを証明する書面
- 上告理由書、上告受理申立て理由書など
訴状や控訴状のように手数料を納める書面は、1号に当たります。委任状や資格証明書は4号です。逆に、条文上のFAXの除外に入らない準備書面や証拠説明書でも、裁判所ごとに受け付ける範囲や枚数の取り決めがあるため、提出先の案内で確認します。特定の裁判所の運用を、ほかの裁判所にそのまま当てはめてはいけません。
持参と郵送は、届いた時が基準
持参も郵送も、紙の書面を裁判所に出す方法です。期限のある書面は、裁判所に届いた時が基準になります。大阪高等裁判所の控訴状の案内にも「必着」と書かれています。発送の日では足りません。期限の前日までに届く日程で出し、郵送なら書留の控えや追跡の記録を残します。
相手方への直送と、受領書の扱い
準備書面は期間をおいて直送する
準備書面は、相手方が準備するのに必要な期間をおいて、裁判所に提出します(民事訴訟規則79条1項)。当事者は、その準備書面を、同じ期間をおいて相手方に直送しなければなりません(83条)。準備書面に引用した文書の写しを出すときも、その写しを直送します(82条2項)。
書類の直送は、写しを交付するか、FAXで送信する方法で行います(47条2項)。直送が難しい事情があるときは、裁判所に申し出て、書記官に相手方への送付をしてもらえます(47条の2第2項)。
受領書を書記官に出す
直送を受けた側は、受領した旨を書いた書面を、直送した側に直送し、裁判所にも提出します(47条の2第3項)。ただし、直送した側が、受領した旨を相手方が書いた書類を裁判所に出したときは、不要です。受領書のやり取りは、書面の出し忘れより、戻ってこないことのほうが起きやすい作業です。送った側は、受領書が戻ったかを、送った日から確認の予定を決めておきます。
オンラインで出した書面の直送
裁判所の概要資料によると、準備書面等をインターネット経由で提出すると、相手方が閲覧・ダウンロードできる旨の通知が、電子メールで届く仕組みです。裁判所の概要資料は、この仕組みを「インターネットによる直送」と呼び、規則47条の2を根拠に挙げています。
図解 4
施行前の事件と施行後の事件
| 観点 | 2026年5月21日より前に提起 | 同日以降に提起 |
|---|---|---|
| 裁判所への提出 | 書面(持参・郵送、規則3条のFAX) | 訴訟代理人はオンライン(mints)が義務 |
| 提出になる時点 | FAXは受信した時、郵送は届いた時 | ファイルに記録された時 |
| 相手方への送付 | 写しの交付またはFAXで直送 | システムを通じた閲覧・ダウンロードの通知 |
| 送達 | 書面で送達 | オンライン送達(届出が必要) |
提出の記録を事務所に残す
残す項目を決めておく
提出の方法がどれでも、あとで確かめられるのは記録だけです。書類ごとに、次の項目を案件に残します。
図解 5
提出のたびに残す記録
誰が何をいつ送ったかを案件にひも付ける
Atrium Legalの案件管理ツールは、弁護士と事務スタッフのやり取りを事務チャット(@宛先・定型文に対応)で案件にひも付けて残せます。「準備書面をmintsで提出した」「相手方代理人にFAXで直送した、受領書は次回期日前に確認」といった連絡を案件ごとに残しておけば、誰が、何を、いつ伝えたかが流れていきません。受領書の確認のような後日の作業は、作業依頼として担当者と期限を決めて出し、ToDo一覧で確認できます。
期限のある書面は、満了日を先に出します。控訴などの期間は、期間計算ツールで目安を出せます。期日や期限を落とさない仕組み全体は、期日・期限を落とさない管理の仕組みで書いています。民事裁判のIT化が事務員の仕事に与える影響は、民事裁判のIT化で事務員の仕事はどう変わるかで取り上げます。Atrium Legalの機能は機能の紹介ページにまとめています。
提出期限そのものの計算は、期限計算ツールで確かめられます。期日や提出予定を事件ごとに管理するには、案件管理のカレンダー・ToDoも使えます。

この記事の監修者
弁護士 横田 秀俊
福井弁護士会所属/弁護士法人横田秀俊法律事務所
Atrium Legalは、弁護士 横田秀俊の監修のもとで設計・開発されています。法律事務所の現場で必要とされる機能と操作感を確かめながら、弁護士と事務スタッフの双方が使いやすいツールを目指しています。監修について
※ 弁護士法人横田秀俊法律事務所と、Atrium Legalの販売元(株式会社HMコンサルティング)は別の法人です。
参考にした法令・資料
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この記事は、2026年10月時点の法令・公表資料をもとにした一般的な解説です。個別の事案の判断は、事案の内容に応じて行ってください。