期日の管理漏れを防ぐ カレンダーと事件記録をつなぐ
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期日の管理漏れを減らすには、管理する日付の種類を分け、決まったその場で登録し、予定表と事件記録のずれが生まれない置き方にします。少人数の事務所でも回る運用の型と、カレンダーを案件にひも付けて使うときの注意を、できないことも含めて整理します。
案件管理
期日の管理漏れを減らす
日付を分け、その場で登録し、正本を1か所にする。
期日のほかにも、管理する日付が5種類ある
予定表に期日だけを入れていると、期日の当日は守れても、その前の準備が抜け落ちます。落とし穴はそこにあります。事務所で管理する日付を分けると、期日に加えて、次の5種類があります。
1つ目は、裁判所が指定する書面の提出期限です。2つ目は、その提出期限から逆算して、事務所の内部で作成の日や弁護士の最終確認の日を決める、社内期限です。3つ目は、依頼者に事実関係を確認する、方針を相談するといった連絡の期限です。4つ目は、上訴や不服申立てのように、法律で期間が定められている手続の満了日です。5つ目は、請求書の支払期限や、相手方に回答を求めた期限のような、金銭や交渉に関する日付です。
抜けやすいのは、2つ目と3つ目です。裁判所の期限は書面に書かれているので意識しやすい反面、自分たちで決める社内期限と依頼者への連絡期限は、誰も決めなければ存在しません。依頼者から資料が届かないまま提出期限の前日を迎える、という事態の多くは、連絡の期限を日付として置いていなかったことから始まります。
4つ目の満了日は、手続ごとに日数も起算日も違います。日数はここでは書きません。条文や裁判所の書面で期間を確認した人と、確認した日を記録に残すことを、運用のルールにしておきます。
図解 2
管理する日付は6種類
期日が決まったその場で、まず書き留める
次回期日は、期日の席で決まることが多いものです。ここが最初の関門です。事務所に戻ってから登録しようと考えていると、帰りに電話が入り、別の相談が始まり、夕方には「あとで入れる」だけが残ります。書記官からの電話で日程を調整したときも同じです。
登録は二段階にします。決まった瞬間に、手元の手帳かスマートフォンに日付と時刻、事件名を書き留めます。そして、その日のうちに事件記録へ正式に登録します。順番はこの通りです。期日に出た弁護士が書き留め、事務員が登録する分担にしておけば、登録のたびに弁護士の手を止めずに済みます。一人で回しているなら、事務所に戻って最初にする作業として、登録を固定します。
期日が終わった直後にも、やることがあります。次回期日、裁判所から求められた対応、いつまでに誰が何をするかを、その日のうちに事件記録へ書きます。期日の記憶は、数日たつと「次回までに何を求められたか」が曖昧になります。期日が変更されたり取り消されたりしたときも、変更の連絡を受けた時点で、登録済みの日付を直します。新しい日付を足すだけで古い日付を消し忘れると、予定表に存在しない期日が残り、かえって混乱します。
図解 3
期日が決まってからの動き
提出期限から逆算して、作業の日を別に置く
期日そのものより、準備の日程のほうが先に崩れます。A社の事件を例に、期日が12月10日、準備書面の提出期限が12月1日だとすると、次のように日付を置きます。
| 日付 | 種類 | 内容 |
|---|---|---|
| 11月20日 | 依頼者への連絡期限 | 事実関係の確認を依頼する |
| 11月25日 | 社内期限 | 書面の案を作成する |
| 11月28日 | 社内期限 | 弁護士が最終確認する |
| 12月1日 | 提出期限 | 裁判所へ提出する |
| 12月10日 | 期日 | 期日に出頭する |
逆算して入れた日付は、予定ではなく作業です。担当者まで決めておかないと、日付が並ぶだけで誰も動きません。複数の事件を抱えていると、同じ週に社内期限と提出期限が重なることもあります。一覧で見たときに特定の週だけ山になっていないかを確かめ、山があれば作業の日を前に倒します。依頼者への連絡期限は、返事が遅れる場合に備えて、提出期限との間に余裕を持たせます。
予定表と事件記録のずれは、同じ情報を二か所に書くことで起きる
事件記録に「次回期日12月10日」と書き、手帳にも、事務員の共有カレンダーにも、スマートフォンにも書く。この状態で期日が変更されると、直し漏れが出ます。変更の連絡を受けた人が、自分の手帳だけを直して終わるのが典型です。担当の事務員が休みの日に電話で変更を受けた場合は、さらに起きやすくなります。
対策は単純です。正本にする場所を1か所に決めます。正本が所内で共有できる場所にあれば、誰が連絡を受けても、その場で直せます。ほかの場所に写す場合は、写しだと分かるようにして、変更があったら正本から直します。予定そのものにも、事件名、裁判所、事件番号、担当者、場所を付けておきます。予定だけを見て何の事件か分からないと、確認のたびに事件記録を開くことになり、確認自体が後回しになります。事件記録の側に持たせる列は、事件の進み具合が一目で分かる管理表の作り方で整理しています。
図解 4
予定の置き方で、ずれやすさが変わる
| 観点 | 複数の場所に書く | 正本を1か所にする |
|---|---|---|
| 期日の変更 | 直し漏れが出やすい | 正本を直せば足りる |
| 担当者が休みの日 | 連絡を受けた人の手帳だけが直る | 所内で共有できれば誰でも直せる |
| 事件の確認 | 予定だけでは何の事件か分からない | 事件名・裁判所・担当者が付いている |
二重確認は、人と曜日を決めておく
登録した人とは別の人が見るのが、二重確認の基本です。事務員が登録して弁護士が見る、弁護士が登録して事務員が見る、どちらでも構いません。決めておくのは、いつ誰が見るか、そして見たことをどこに残すかです。
例を挙げます。毎週の最初の営業日に、今週と来週の期日と期限を一覧で確認します。月に1回は、先の3か月分を見て、準備に時間がかかる事件を拾います。一人で回している場合は、期日呼出状や調書、裁判所からの連絡の控えと予定表を突き合わせる時間を、週に1回、予定として入れてしまいます。確認を気合いに頼ると、忙しい週ほど抜けます。
見る項目も決めておきます。毎回違う観点で眺めると、見落とす箇所も毎回変わります。五つ程度の短い項目に絞っておくと、事務員でも弁護士でも同じ水準で確認できます。
図解 5
毎週の確認項目
- 今週と来週の期日・期限を一覧で見た
- 提出期限の前に作業の日が入っている
- 変更・延期の連絡が反映されている
- 依頼者への連絡期限が過ぎていない
- 期限を超えている案件がない
カレンダーを案件のページにつなげて使う
Atrium Legalの案件管理ツールには、週・月・日の表示で期日や予定を管理するカレンダーがあります。複数メンバーの空き時間も確認できるので打合せの日程を決めやすく、案件のページには依頼者、相手方、裁判所、担当者が整理されているため、作業依頼とToDoを「誰が・何を・いつまでに」の形で案件にひも付けたうえで、期日の準備を担当者ごとに割り振れます。先ほどの表のような社内期限は、ToDoとして担当者と期限を付けて入れておけます。ToDo一覧では全案件のタスクをまとめて確認でき、案件一覧は未入金や期限超過で絞り込めます。事務チャットで交わした連絡も案件にひも付けて記録されます。
できないことも、先に書いておきます。GoogleカレンダーやOutlookとの自動同期はありません。メールやスマートフォンへのプッシュ通知もありません。スマートフォンとタブレットには対応しておらず、MacとWindowsのパソコンで使うアプリです。手帳やスマートフォンのカレンダーを併用するなら、二重入力になります。ここは割り切りが要ります。併用する場合は、正本はアプリ、手帳は写しと決め、朝一番に当日と翌日の予定を開く習慣を先に作っておいてください。
運用の型は、日付を種類で分ける、決まったその場で書き留める、正本を1か所にする、確認する人と日を決める、の4つです。画面の雰囲気はデモで、機能の全体は機能一覧で確認できます。

この記事の監修者
弁護士 横田 秀俊
福井弁護士会所属/弁護士法人横田秀俊法律事務所
Atrium Legalは、弁護士 横田秀俊の監修のもとで設計・開発されています。法律事務所の現場で必要とされる機能と操作感を確かめながら、弁護士と事務スタッフの双方が使いやすいツールを目指しています。監修について
※ 弁護士法人横田秀俊法律事務所と、Atrium Legalの販売元(株式会社HMコンサルティング)は別の法人です。
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この記事は、2026年10月時点の法令・公表資料をもとにした一般的な解説です。個別の事案の判断は、事案の内容に応じて行ってください。