クラウドかデスクトップか 案件管理ソフトの選び方
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案件管理ソフトは、クラウド型とデスクトップ型のどちらが優れているかでは決まりません。データの置き場所、費用の払い方、使う端末、外部サービスとの連携、バックアップの担当。この5つのうち何を優先するかで、向く型は変わります。Atrium Legalはデスクトップ型で、向かない使い方もあるため、その点も事実のまま書きます。
案件管理
クラウドかデスクトップか
5つの判断軸で、自分の事務所に合う型を選ぶ
最初の分かれ道は、依頼者の情報をどこに置きたいか
クラウド型は、案件の情報を提供事業者のサーバーに保存し、ブラウザやアプリにログインして使います。パソコンが故障しても別の端末で続きを開ける点は利点です。その代わり、依頼者や相手方の情報は事務所の外のサーバーに置かれます。保存場所、事業者の管理体制、契約が終わったときのデータの扱いは、自分で確かめる必要があります。個人データの取扱いを外部に委託する場合、個人情報保護法25条は委託先に対する必要かつ適切な監督を求めています。クラウドの利用がその委託に当たるかどうかは、サービスの仕組みと契約内容で変わります。利用規約は読んでおくべきです。
デスクトップ型は、アプリをパソコンに入れ、データを手元か事務所内に置きます。Atriumは事務所内の共有フォルダにデータを保存し、販売元のサーバーなど外部に預けず、外部クラウドへの送信もしません。専用サーバーも不要です。共有フォルダには、OneDrive、Dropbox、Google Driveの共有フォルダやファイルサーバーを使えます。複数のパソコンで同じデータを扱えるということです。ただしクラウドストレージを共有フォルダに選んだ場合、そのストレージの設定や規約を確かめるのは事務所の仕事になります。
どちらの型でも、弁護士には職務基本規程23条の義務があります。依頼者について職務上知り得た秘密を、正当な理由なく漏らしたり利用したりしてはなりません。置き場所の選択は、この義務を果たす手段の選択でもあります。個人情報保護法23条も、取り扱う個人データの漏えい、滅失、毀損の防止その他の安全管理のために必要かつ適切な措置を求めています。クラウドとデスクトップのどちらを選んでも、その措置を講じる主体は事務所です。
図解 2
選ぶ前に見る5つの軸
費用は、月額の積み上げと買い切りで見え方が変わる
ここは単純な優劣がつきません。クラウド型は月額制が多く、導入時の負担は小さい一方、使い続ける限り支払いが続きます。利用人数に応じて料金が変わる体系もあり、事務員や勤務弁護士が増えたときの総額は事前に試算しておきたいところです。デスクトップ型は買い切りが多く、最初の支出はまとまりますが、その後の月額はありません。
Atriumは買い切り98,000円(税込)で、月額利用料はなく、人数が増えても追加課金はありません。利益相反チェックシステム、案件管理ツール、勤怠管理の3ツールセットで、単体では販売していません。詳しくは価格のページに載せています。
開業直後に初期費用を抑えたいのか、数年使った累計で比べたいのかで、有利な方は逆転します。3年分、5年分の累計を、自分の事務所の人数で計算してみるのが確実です。
スマホで見たいか、外部カレンダーとつなぎたいかで、向き不向きがはっきり出る
外出先や裁判所の待合で事件の情報を見たい、期日の通知をスマートフォンで受けたいという使い方なら、クラウド型が有利です。ブラウザやスマートフォンのアプリから使えるサービスは多く、GoogleカレンダーやOutlookと連携するものもあります。
複数の拠点や在宅で同じ情報を扱う場合も、ログインするだけで済むクラウド型は始めやすい選択です。デスクトップ型で同じことをするには、各パソコンにアプリを入れ、共有フォルダに接続できる状態を作る手間がかかります。
Atriumは、ここが弱みです。動作環境はmacOS 13以降(Appleシリコン・Intel)とWindows 10・11(64ビット)です。スマートフォンとタブレットには対応していません。GoogleカレンダーやOutlookとの自動同期はなく、メールやスマートフォンへのプッシュ通知もありません。期日はアプリ内のカレンダー(週・月・日)で管理するため、外出先で確認したい日付は手帳や自分のカレンダーに別に控えることになります。この二重の入力を負担と感じるなら、Atriumは向きません。
逆に、作業の大半を事務所のパソコンで行い、記録を所内に閉じておきたい事務所なら、この弱みは小さくなります。優先順位の問題です。
| 判断軸 | クラウド型の傾向 | Atrium(デスクトップ型) |
|---|---|---|
| データの置き場所 | 提供事業者のサーバー | 事務所内の共有フォルダ |
| 費用の払い方 | 月額制が多い。人数で変わる体系もある | 買い切り98,000円(税込)。月額なし、追加課金なし |
| スマホ・タブレット | 対応するサービスが多い | 非対応 |
| カレンダー連携・通知 | サービスによる | 自動同期なし、プッシュ通知なし |
| バックアップ | 事業者の仕組みと契約による | 事務所の方針で選ぶ |
図解 3
クラウド型とAtriumの違い
| 観点 | クラウド型の傾向 | Atrium(デスクトップ型) |
|---|---|---|
| 置き場所 | 提供事業者のサーバー | 事務所内の共有フォルダ |
| 費用 | 月額制が多い | 買い切り98,000円(税込) |
| スマホ・タブレット | 対応するサービスが多い | 非対応 |
| カレンダー・通知 | サービスによる | 自動同期なし、プッシュ通知なし |
| バックアップ | 事業者の仕組みと契約による | 事務所の方針で選ぶ |
バックアップと障害への備えは、誰が持つかを先に決める
クラウド型ではバックアップを事業者が行うサービスが多いものの、頻度、保持期間、復旧にかかる時間、障害時の補償は契約ごとに違います。契約書や規約を読み、自分の事務所が求める水準に足りるかを見ます。
デスクトップ型では、バックアップを事務所が担います。Atriumは、Windows・Macのフォルダのアクセス権限をそのまま使い、バックアップの方法と保管期間を事務所の方針で選べます。裏返せば、取っていなければ戻せません。事務所の責任です。外付けディスク、ファイルサーバーの複製、クラウドストレージの履歴機能のどれを使うか、誰がいつ取れているかを確認するかまで決めておく必要があります。アプリを削除しても共有フォルダのデータは残りますが、それはバックアップの代わりになりません。
置き場所ごとの注意点や、アクセス権限、端末の紛失への備えは依頼者情報をどこに置くかで詳しく扱っています。
図解 4
バックアップの決め方
購入前に確認することを決め、迷う点は資料請求で聞く
Atriumはデジタル商品のため、購入後の返品・キャンセルを受けていません。セットアップ時にはインターネット接続が必要です。こうした条件は購入前の確認事項にまとめてあるので、先に目を通してください。
自分の事務所に当てはめる問いは4つです。使うパソコンのOSが対応バージョンか。外出先で事件情報を見る必要がどれだけあるか。期日を別の手帳やカレンダーに控える二重入力を許容できるか。共有フォルダをどこに置き、バックアップを誰が確認するか。
図解 5
購入前に確かめること
- 使うパソコンのOSが対応バージョンか
- 外出先で事件情報を見る必要の程度
- 期日を別に控える二重入力を許容できるか
- 共有フォルダの置き場所とバックアップ担当
- 返品・キャンセル不可の条件を確認したか
この4つに答えが出れば、型の選択はほぼ決まります。スマートフォンでの閲覧や外部カレンダーとの同期が欠かせないと分かったなら、Atriumは合いません。そう判断できることも、購入前に確認する意味です。パソコン中心で、記録を事務所内に置いて管理したいと考えるなら、機能の範囲や手元の環境で動くかを資料請求・お問い合わせから尋ねてください。

この記事の監修者
弁護士 横田 秀俊
福井弁護士会所属/弁護士法人横田秀俊法律事務所
Atrium Legalは、弁護士 横田秀俊の監修のもとで設計・開発されています。法律事務所の現場で必要とされる機能と操作感を確かめながら、弁護士と事務スタッフの双方が使いやすいツールを目指しています。監修について
※ 弁護士法人横田秀俊法律事務所と、Atrium Legalの販売元(株式会社HMコンサルティング)は別の法人です。
参考にした法令・資料
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この記事は、2026年10月時点の法令・公表資料をもとにした一般的な解説です。個別の事案の判断は、事案の内容に応じて行ってください。